冬の旅

Posted by Y on 1月 24th, 2011

 歌曲王シューベルト(1797-1828)が残した、最高の歌曲集の一つ「冬の旅」。松原友さんのテノールリサイタルでの演目でした。ピアノは小林道夫氏。10年前に交わされた約束の実現でした。

「10年経って君が、シューベルトが『冬の旅』を作った年齢になったら一緒に演奏しよう。」

 1月31日のシューベルトの誕生日に合わせて行われたリサイタル。師弟の絆、信頼が、なんとも美しい音楽となってホールに響きました。

 冬の旅を初めて全曲聞いたのは、ある番組でボストリッジが歌ったものでした。クラシックの名曲に興味が湧き、常に何かを音楽から得ようと思っていた学生時代、よくクラシック番組を見ていました。その「冬の旅」は背景が真っ白な場所で、普通の演奏会とは違う演出の中歌われていました。当時の私には難しすぎたようで、なんだかよくわからなかったという気持ちだけが残りました。

 あれから数年が経ち、私もその年に近づいてきました。今の自分にとって、「冬の旅」は非常に刺激的でした。冷たい足音のように、ピアノが音楽を刻み始めた瞬間から、ハーディガーディの空虚なオスティナートで幕を閉じるまで。

 すばらしい10年を歩んでこられたのだなと、感動とともに、自分の10年をふり返りました。過ぎたものは戻らないけれど、これからの10年、いやそう欲張らず、まずはこの一日、私も音楽と向かい合いたいと思いました。

クリスマスの約束

Posted by Y on 12月 25th, 2010

 私の住む町では初雪が降りました。雪を見るとなんだかどきどきします。クリスマスにはいろいろな演奏会を見る機会があります。20日、イルミネーションに彩られた中央公会堂では、ジャヌカンとピアフという、時空を超えたフランスシャンソンを取り上げた、ジパングコンソートのクリスマス演奏会がありました。アカペラヴォーカルグループですが、ピアフではアコーディオンとの共演で、艶やかなフランスシャンソンの魅力を魅せてくれました。

 クリスマスイブの番組「クリスマスの約束」。たくさんのアーティストが集い、それぞれの曲、また、感銘を受けた曲のカバーを、美しいアレンジで聞かせてくれました。心に残ったのがハーモニーの美しさ。個性の強い歌手たちの集まりでありながら、それぞれがそれぞれに歌っているのに、音楽は一つ。

 衝撃を受けたのが「小さな恋のうた」。きっと誰もがどこかで耳にしたことがあるはず。私もありました。でもこんなにステキな曲だと知りませんでした。当たり前のことをこんなに素直に歌えるって、本当に美しいと思いました。

 歌手が集い、名曲をみんなで歌い上げる、すばらしい時間でした。

ジョバンニ・アレヴィ

Posted by Y on 11月 23rd, 2010

「音楽はどこにありますか。」

 そんな問いかけにどのように答えましょう。心の中、頭の中、空間、宇宙、哲学的な答えはどこまでも広がりそうです。

 ある作曲家がショパンのプレリュード「雨だれ」の演奏について言いました。
「Asの音は常に空間に流れていて、その音を汲み取るように鍵盤を叩く。」
音楽はピアノで表現される前からそこにあって、終わってからも続いて行く。演奏はその一部分を汲み取るようなもの。空間はそんな聴こえない音楽に満ちているような感覚。とてもおもしろい。

 そうすると、ある絵を見て曲のイメージが湧いたとか、ある場所に立ってメロディが浮かんだとか、そんな作曲家の言葉は、何も彼らの頭の中での営みだけではないのかもしれない。中には鍵盤に向かい、メロディを絞り出す作曲家もいるだろう。けれど、そんな空間にある音楽(神からの贈り物でしょうか)を聴くことのできる何かをもっていたら、作曲家はそれを我々に伝えるという使命に向かっているのかもしれない。

 イタリアのピアニスト、Giovanni Allevi(ジョバンニ・アレヴィ)。先日彼の演奏会に行きました。彼の奏でる曲は、きっと彼がいつも聴いている音楽そのものなのでしょう。ソファの上で、東京駅で、水のある風景で、恋人のいる風景で。

 私にはそんな音楽は聴こえない。けれどどこか懐かしい。パーセルも、モーツァルトも、ショパンも、矢野も、アレヴィも。

音楽と美術

Posted by Y on 10月 15th, 2010


 音楽に色を見いだしたり、絵画に音を聴いたりする芸術家は少なくありません。そんな眼と耳を行き来する芸術を感じる空間が由布院にありました。コンサートも行われているすてきな建物、いつまでもここにいたいと思いました。武満徹をはじめ、多くの芸術家たちの言葉がガラスの壁に記されていました。

 こんな空間で演奏してみたいなと思いました。私も、色鮮やかな音楽を奏でてみたい。

絵本美術館

Posted by Y on 9月 6th, 2010


 絵本作家、葉祥明氏の絵本の世界が広がる、すてきな美術館に立ち寄りました。気持ちの良い風が吹く丘の上の美術館、展示場の扉を開くと、物語の中のような庭が広がり、リトルエンジェルの小道、ジェイクの丘などと名付けられています。

 「ブルービーという青いハチがお庭に来ていますよ。」と受付の方がおっしゃいましたが、「またメルヘンなことを…」と疑いつつも、「どんなハチだろう。」と興味も持って、展示場を一通り鑑賞してから、庭に出ました。するとそこに携帯を持った人だかりが。覗き込むと確かに青いハチが…初めて見るもので驚きました。絵の具で塗られたんじゃとか、ハチに似た変わった虫ではとか、見てからも少し疑っていましたが、どうやら本当に青いハチでした。後々調べると「ルリモンハナバチ」というハチらしいです。
 
 お庭散策も楽しみ、最後にミュージアムショップに立ち寄り、絵本を一つ購入しました。すると店員さんが、「サイン頼みましたから、ちょっと待ってくださいね。」と。なんのことかと思っていたら、カフェの方からベレー帽を被ったおじさんが出てきて、絵本にサササッとサインしました。思わぬ記念になりました。