メサイア
芸術に触れる 12月 25th, 2005
この時期に必ず開かれる演奏会といえば、ベートーベンの交響曲第九番がまず浮かぶでしょうか。日本で年末の演奏会が定例化したのは、もとはオーケストラの収入がなかったためらしいですが、今では第九を聴かなければ年を越せないという人も少なからずいるのでは。
同じくこの時期にヘンデルのオラトリオが演奏される。メサイア(救い主)キリストが生まれる前の予言から、誕生、そして受難、十字架による死と復活、イエスの復活によって人類にもたらされた永遠の生命への賛美…それら全てがヘンデルの美しいアリアと合唱に歌われます。ハレルヤが有名ですが、一つ一つのアリアも すばらしい作品であるため、よく抜粋して演奏されます。
キリストは生まれる前から、十字架による死がわかっていました。多くの苦しみを受けるとわかっていながら、彼ほど多くの人に誕生を祝われている方はありません。そんなに苦しむなら生まれなければよかったのに…とは誰も思わないのです。
このオラトリオを全曲続けて聴くことで、キリストの誕生が世界中で祝われる理由が、なんとなく伝わってくるかもしれない。2時間半にもなる大作ですが、まるで全てを知っているかのように演奏される序曲、そして静かなテノールの語りでその世界に入り込んでしまったら、最後のアーメンまで抜け出すことはありません。クリスマスの季節に一度は聴いておきたい。
「人間の声に勝る楽器はない」とは誰の言葉でしょうか。ベートーベンもヘンデルも、そして数多くの作曲家たちも、言葉にせずとも最後に戻るところはそこであったように思います。
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