不思議なことに都会の真ん中にいたって、どこからともなくキンモクセイが香ってきます。秋の空気はとても気持ちがよくて好きです。

 授業中に紙ヒコーキを窓から飛ばしてめちゃくちゃ怒られた知人がいました。中学二年生の当時は紙ヒコーキが教室によく飛んでました。私は紙ヒコーキを作り始めた一人で、私と友人のハマりようは異様でした。授業中にしたら取り上げられるから、休み時間や、放課後には中庭の朝礼台に登って、二人で徹底的に作って飛ばしていました。

 小学生までは、紙ヒコーキは遠くに飛ばすこと(=よく飛ぶ)や変わった飛び方などを求めがちだけれど、中学での我々はいかにゆっくりと長く、美しく風に乗るか、ただそれだけを追求していました。羽を微妙に曲げてみたり、後部を曲げてみたり、とにかくそれは試行錯誤で、研究に近い何かがありました。そうするうちに芸術的な紙ヒコーキが…

 覚えている中でもっとも美しく飛んだものが、真上に投げたら迷うことなく垂直に空に向かい、その頂点で風をつかんで、まるでロープウェイのようにゆっくり、見えない軌道に乗って見事な線を描いて飛んだものです。後にも先にも当時と同じような紙ヒコーキは作れていません。

 そこまでした紙ヒコーキなだけに窓から飛ばしてみたいという願望も強かったですが、怒られてるのを見てるので朝礼台でがまんしました。子どもたちが学校で紙ヒコーキの飛ばし合いをしているのを見ると、なんだか懐かしくなります。秋の風にそんな時代を思い出しました。